ほとんどの人には効きません。しかもこの分野では、ランキングは中立な機能というより積極的な害に近いです。 順位が効くのはすでに上位にいる一部の人だけで、それ以外の人が毎週受け取るのは「自分がまた負けている」という証拠です。しかもこの証拠は、すでに気に病んでいる領域について届きます。もっと悪いことに、他人との比較は、たいていそのユーザーがアプリを入れてまで逃げたかった当の仕組みです。私たちはこれを内側から知っています。Unscrolはランキングを実装して、そして削除しました。 この記事はその判断の理由であり、競争が本当に効く場面についての正直な話でもあります。
ランキングは、やる気に何をするのか
目的を、内側から外側へ移します。
あなたがスマホ管理アプリを入れたのは、私的な理由からです。夜の時間を取り戻したい。2ページに1回スマホを見ずに本を読みたい。子どもと同じ部屋に、ちゃんといたい。どれも内側の目的で、誰にも知られなくていいからこそ長持ちします。
順位は、そこに別の目的を差し込みます。他人より上にいること。 そして外側の目的がいったん据えられると、その下にあった目的を押しのけていく傾向があります。動機づけ研究でいちばん古い発見のひとつです。それ自体のためにやっていたことに目立つ報酬やスコアを持ち込むと、もとの動機は弱まる。報酬が理由になり、報酬が消えれば行動も消えます。
症状は分かりやすい形で出ます。いい夜を過ごせたかと自問するのをやめて、いま何位かを確かめるようになる。この2つの問いの答えは、驚くほどよく食い違います。
なぜ「比較」はこの問題に向いていないのか
比較こそが病気であって、治療ではないからです。
他人の見せ方を整えた数字と自分を比べることは、SNSから不安や気分の落ち込みへ至る経路のなかでも、比較的よく裏づけられているものの1つです。デジタルウェルビーイングのアプリにたどりつく人は、まさにその輪にすり減らされてきた人です。
そしてアプリを開くと、名前と数字が並んだ表が、順位つきで出てくる。
ウェルビーイングアプリのランキングは、スコアボード付きのフィードです。 ユーザーが逃げようとしている仕組みを、こちらのロゴを貼って再現している。初日の人に対して、やることとしてはかなり奇妙です。
どんな設計でも直せない測定の問題もあります。夜勤のある看護師、顧客とのやりとりがすべてInstagramのDMで完結しているフリーランス、夏休み中の学生、生後3か月の子がいる親。この4人の数字が比較可能になることは永遠にありません。並べて順位をつけて測れるのは、いま誰の生活が穏やかかであって、誰が努力しているかではありません。
順位が下のほうにいる人に何が起きるのか
ここは多くの開発チームが軽く見ます。自分たちのダッシュボードを眺めると、上位にいる人たちの活発さばかりが目に入るからです。
順位が効くのは境界のそばにいるときです。4位で、3位に手が届くなら、その表は本当に力をくれます。300人中94位なら、その表は聞く必要のなかったことを、公開の場で、毎週伝えてくることになります。ほとんどの人は境界のそばにいません。ほとんどの人は真ん中か下のほうにいて、その人たちにとって順位は、失敗の定期的なリマインダーです。
結果は予測できます。しかも、自分を責めても続かないという話とまったく同じ結果です。恥は回避を生み、まっさきに避けられるのはアプリそのものです。ランキングは、苦戦しているユーザーをやる気のあるユーザーに変えません。離脱したユーザーに変えます。
「3週間くらいでした。トップに1日42分という人がいて、自分は平均4時間。仕事の半分がLINEでチームを回すことなので当たり前なんですが。フェアな比較じゃないと頭では分かっていても、毎週月曜に自分がだめな人間みたいに感じました。結局、何かを直すんじゃなくて、アプリを開くのをやめました。」 — 拓也(38歳・建設現場の職長)
では、競争が効くのはどんなときか
競争は本当に効きます。効かないふりをするのは不誠実です。歩数対決、営業成績のボード、教室のコンテスト、フィットネスアプリのグループチャレンジ。どれも特定の条件のもとで本物の行動変化を生みます。その条件は狭く、正確に名指しする価値があります。
| 効く競争 | 裏目に出る競争 | |
|---|---|---|
| 誰と並べられるか | 知っている人、事情が近い人 | 仕事も端末も生活も違う他人 |
| 期間 | 終了日のある区切られた企画 | 恒久的で、常に見えている順位 |
| 指標 | 全員が同じやり方で測れるもの | 比較不能なスクリーンタイムの推定値 |
| 対象の活動 | 自分で選んだ寄り道 | もともと不安に思っていたこと |
| 負けたときの代償 | ない。楽しさが目的だった | 自分について語ってきた物語の裏づけ |
| 感情の重さ | 軽い。歩数、読んだページ数、懸垂の回数 | 重い。自制心、規律、自己像 |
左の列を読むと、良い競争機能の形が見えてきます。短く、自分で選び、お互いさまで、口に出して話しても平気なことについて。 同僚4人との2週間の歩数対決が効くのは、終わるからであり、全員が同じ数え方をしているからであり、自分の歩数が人格の判定だと誰も思っていないからです。
スクリーンタイムはこのテストを全部落とします。恒久的で、比較不能で、自己評価が重く乗っていて、しかも推定値で測られている。フィットネスアプリでは美しく機能する仕組みが、ウェルビーイングアプリでは腐食性になる。その理由は、2つの列のあいだの距離そのものです。
なぜ自分たちのランキングを消したのか
理由は4つ。はっきりしてきた順に並べます。
数字がそもそも比較可能ではなかった。 スクリーンタイムはしきい値を越えたかどうかから導かれる推定値であって、ストップウォッチの分数ではありません。桁が同じでも、2人の合計は違うことを意味しています。
間違った行動に報酬を与えていた。 順位が報いるのは低い数字です。本当に夜を取り戻した人と、順位を守るためにスクロール先をパソコンに移した人を、順位は区別できません。指標が目標になった瞬間に、指標としては壊れる。習慣トラッカー全般につきまとう問題と同じです。
うまくいっていた仕組みのほうを壊していた。 自分で決めた持ち分に対する非公開の連続記録は、自分との約束です。順位は他人との言い合いです。前者は調子の悪い1週間を生き延びますが、後者は生き延びません。
アーキテクチャと矛盾していた。 Unscrolは、あなたが選んだアプリも、その中でどう時間を使ったかも見ていません。iOSがすべて端末内に留めているからです。わざとぼやけていて、わざと私的なデータの上に競争の層を作るには、プライバシーモデルを弱めるか、粗いと分かっているランキングを出荷するかしかない。どちらも受け入れられませんでした。

代わりに何を使えばいいのか
比較の害なしに、やる気の引っぱりだけが欲しいなら、使える代替はどれも同じ考え方の変形です。比べる相手は、先週の自分。
- 自分で決めた持ち分。 自分で選んだ数字は約束です。他人と並べる数字は判決です。
- 非公開の連続記録。 連続記録が効くのは、誰かに勝つからではなく、一貫性と「失いたくない」という感覚からです。見えるのは自分だけにしておきます。
- 300人ではなく、相棒ひとり。 あなたの事情を知っている人は、失敗と忙しい1週間を区別できます。ランキングにはできません。
- 期間を区切ったグループチャレンジ。 競争がしたいなら、2週間、友人と、具体的な何かで。そして、終わらせる。
- 残量の表示。 今日あと9分だと知ることは、今夜を変えます。94位だと知ることは、何も変えません。
Unscrolはどう役立つ?
正直な出発点から。Appleの「スクリーンタイム」には、ランキングもフィードもソーシャルの層もいっさいありません。 そしてそれは、この機能の最良の点のひとつです。無料で、私的で、すでにiPhoneに入っていて、あなたを他人と比べることは絶対にありません。「アプリ使用時間の制限」を設定して、それを守れるなら、それが解決策のすべてです。唯一の本当の弱点は執行です。Apple自身が「スクリーンタイムの制限は、デフォルトでは、制限に達したときに無視できます」と書いているとおり、制限を無視する操作(英語版の表記は Ignore Limit。Appleの日本語ガイドはこのボタン名を印字していません)が、いちばん判断できない瞬間のあなたに決定権を返してしまいます。
Unscrolは、同じAppleのフレームワーク上に作られたiPhoneとApple Watch向けのアプリで、いまはこちらにもランキングがありません。中心にあるのは、自分で決める2つの数字。1日の合計と、1回あたりの上限です。1回分に相当する量を使うと、選んだアプリが15分ロックされます。1日の合計を使い切ると、翌日までロックされます。連続記録は上限の内側で終えた日を数え、それはあなただけのものです。
そのまわりに、時間帯を決めてブロックするシールド(途中でオフにするのはわざと遅くしてあります)、1分の振り返りであるこころの休憩、抜けた1日を救うプレミアムの連続記録の保険、そして残りの持ち分を表示できる28種類のホーム画面・ロック画面ウィジェットがあります。取り戻した時間の使い道として、8カテゴリーおよそ117のチャレンジ。無料プランは同時に1つ、プレミアムは5つまで追えます。Unscrolがあなたの選んだアプリを知ることはありません。iOSが渡すのはアプリの識別子ではなく不透明なトークンで、ブロック対象のリストと利用データは端末内で処理され、Unscrolのサーバーには届きません。ついでに言えば、それこそが、あなたを並べる相手がどこにもいない理由でもあります。
よくある質問
ランキングは実際にスマホの使用時間を減らしますか?
ほとんどの人には効きません。順位が効くのは、すでに上位にいて現実的に順位を上げられる一部の人だけです。それ以外の人にとっては、毎週「自分は負けている」という証拠が届くことになり、努力ではなく離脱を生みます。この分野には固有の皮肉もあります。スマホ管理アプリを入れる人は、たいていまさにその比較の力学から逃げようとしている。しかも行動は極めて私的で、事情は人によってまったく違い、数字は推定値です。結局ランキングが測っているのは、誰の生活がいま穏やかかということでしかありません。
Unscrolはなぜランキングをやめたのですか?
最適化する対象を間違えていたからです。順位は、自分の夜をどう過ごすかという私的な判断を、仕事も通勤も端末も何ひとつ共通点のない他人相手の公開スコアに変えてしまいます。そもそもスクリーンタイムの数字は正確な分数ではなく推定値なので、比較の土台が最初から成立していませんでした。さらに順位は、数字の背後にある生活ではなく数字そのものに報酬を与えます。人が自分の道具をごまかしはじめるのはそこからです。いまのUnscrolが比べる相手は、自分で決めた持ち分と、自分の過去の日々だけです。
競争が習慣づくりに効くのは、どんなときですか?
短くて、終わりがあって、実際に知っている人どうしでやるときです。同僚5人と2週間の歩数対決、友人どうしのひと月の読書量勝負、終了日のはっきりしたチーム単位の追い込み。効く条件は毎回同じです。全員が同じやり方で測れる活動であること、事情がだいたい似ていること、自分から参加を選んだこと、そしてゴールがあること。私的で感情の重い行動に、期限のない公開ランキングをつけると、この4条件を一度にすべて外します。
ウェルビーイング系アプリは、ランキングの代わりに何を使うべきですか?
他人ではなく、その人自身の過去と比べる仕組みです。実際には、本人が決めた持ち分、本人だけが見える連続記録、今日あとどれだけ残っているかの表示、そして抜けた1日へのおだやかな救済。もし社会的な後押しが本当に欲しいなら、小さくて自分で選んだものにとどめます。相棒をひとりだけ持つ、あるいは終了日のあるグループチャレンジ。原則はこうです。比較は任意参加で、初期値は非公開、そして絶対に恒久的にしないこと。